2歳年上の兄の話
身内の僕から言うのはとてもくやしいが、
彼は昔から勉強ができた。とても。
もっと言うと、勉強だけではなくとにかく物覚えが早かった。
たとえば彼はアニメ「デジモンアドベチャー」が大好きで
毎週かかさず録画していたのだが、
その全50話以上のタイトルすべてを一言一句暗記していた。とか。
そんな彼が高校3年のとき。
ついにセンター試験を迎えることになる。
1ヶ月を切っても焦るような素振りは全く見せず、
むしろ家族が心配するレベルで余裕をぶちかましていた。
〜センター試験1週間前〜
「センター試験1週間前までに世界史以外の教科を完璧にし、残りの時間は全て世界史に捧げる」
と言っていた彼は、本当に四六時中世界史のテキストを読んでは書いて、書いては読んでを繰り返していた。
そして後半はほとんど寝転がりながらテキストを読んでいるだけの日々を過ごしていた。
〜センター試験前日〜
「ふつう」の人であれば「もうやれることはやった。今日はゆっくり寝て明日の本番に備えよう」
と思いそうなところだが(事実僕がそうだった)、彼の場合は違った。
センター試験前日、彼は当たり前のように徹夜をした。
そして‥
〜センター試験本番〜
試験を終え家に帰ってきた彼は「たぶん大丈夫」と言っていた。
事実、世界史は100点だった。
その後の二次試験も無事に終え、
見事第一志望の大学への入学が決まった。
彼は自らの欲求に忠実で
大学生活もこれでもかというくらい謳歌していた。
そういえば
彼はいつも一生懸命だった。
プラモデルをつくっているときも、チャンバラをしているときも、部活をやっているときも、小説を書いているときも。
集中力の「深さ」がすさまじかった。
「浅く広く」ではなく「狭く深く」ひとつひとつの物事に向き合うことで、
熱量や知識が僕のそれとは全く違うものになっていた。
これはいまの自分にもきっと活かせる、活かさなければならないスタンスだとも思う。
いま彼は東京で一人暮らし中。
毎日定時で帰り、いまは投資の勉強をしている。
お盆に会える予定なので
久しぶりにゆっくり話すのが楽しみだ。